8.07.2015

エネルギー、車、テスラと変える世界 ---16

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以下は、このリンク先の記事 http://waitbutwhy.com/2015/06/how-tesla-will-change-your-life.html を私が勝手に解釈して書いています。オリジナルの内容にできるだけ沿ったつもりですが翻訳ではありません。


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テスラ・ストーリー(その3)



EVでロード・トリップ(車の長距離旅行)するには。。。テスラの解決策:



テスラが搭載するバッテリーは、一回の充電で200マイル以上走れるので、ほとんどの人が普段の生活をするにはまず問題ありません。通勤だけでなく、いろいろな用事を済まし、ちょっとどこか探索しても、1日200マイルも走ることはまずありませんよね。でも、都市から都市へ長距離ドライブしたり、ロード・トリップできないことは、EVが昔から抱えている問題の一つでした。そこで、イーロン・マスクの解決策は。。。


テスラがスーパーチャージャーを造るという構想です。世界中に高性能の路上充電施設ワールドワイド・エネルギー・ネットワーク)を張り巡らすというのです。ガスステーションにガソリンパンプが幾つか並んでいるように、テスラはスーパーチャージャーを並べて、チャージステーションを設置し始めました。自宅のガラージでモデルSのバッテリーをフル充電するのに、通常は5時間もしくは10時間(どのタイプの車載充電システムを選んだかによる)かかります。もちろん、ガソリン車を満タンにするのに5分しかかからないことに、旅の途中、路上で何時間も待とうと思う人はいませんので、スーパーチャージャーでの充電はもっとスピーディです。現時点では、10分でモデルSに60マイルの走行距離分充電出来ます。だから、ボストンとニューヨークの間(215マイル)を走る時には、ノンストップで行けるかもしれないし、そうでなくても5分か10分充電すればOK。ガススタンドに止まる時間とそれほど差はありません。ロスアンゼルスからサンフランシスコ(382マイル)に行くには、20分から30分止まる必要があります。


でもですね、ボストンからニューヨークまで運転するのに4時間かかるのです。途中で5分か10分休憩するほうが、安全の為にもいいと思いませんか?それに、LAからSFまでは6〜7時間です。ほとんどの人は、何か食べたりトイレに行ったりで20〜30分は休憩すると思いますが、どうでしょう?


実際運転することを考えれば考えるほど、EVも、テスラほどクオリティの高いバッテリーを持っていたら、走行距離の心配をする必要は殆どないって事がわかってきました。例えば、ある人が、一年に5日間長距離ドライブするとしたら、365日の内360日は、自宅から運転するだけでいいのです。特になにもする必要なく、ガスステーションなんか行かなくても済みます。で、残りの5日間は?ガソリン車を運転するのと同じくらい休憩するだけです。


なんとパーフェストな解決策。でももちろん、これが理論通りうまく行くには、長距離ドライブする途中にスーパーチャージャーがなければなりませんよね。下が既にアメリカに設置済み(赤)の、又は建設中(グレー)のスーパーチャージャーロケーションマップで。。。





Tesla.com 



たった今も、猛烈なペースで設置を進めていて、2016年末には下のようになる予定です。





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ヨーロッパアジアも同様にカバーされる予定で、工事が進行中です。


現在、スーパーチャージャー・ステーションを使えるのはテスラだけです。長距離ドライブができるのは、まだテスラだけですし。。。でも、将来、マスクは他のEV会社と手を組んで、他社EVも使えるようにしようと考えています。


あと2点、スーパーチャージャーについて知っておきたいことがあります。まず、全てタダ、使用無料。ということはタダで充電して走り続けられるのです。友達の所に泊まれれば、財布を取り出さずに、アメリカ横断することだって出来ないことはありません(笑)。次に、近いうちにスーパーチャージャーのパワーは全てソーラー、太陽光発電で賄われるようになります。マスクは、(zombie apocalypseのように)世界がゾンビに占領されても、スーパーチャージャーは電力会社のグリッドに頼らないので、車を充電できるから大丈夫だって言ってます(もち、ジョーク)。


更に、テスラはどんどんイノベーションを進めているので、今後も長距離ドライブはますます便利になっていきます。テスラ・ロードスターは、既に走行距離360マイルのバッテリーを搭載しているので、その気になれば、LAからSFまで止まらずに走る事ができます。今後、ロードスターより安い車が、同じような走行距離を持つようになるのも時間の問題です。また、スーパーチャージャーで、バッテリー交換する仕組みも試されています。ドライバーが小さい長方形の上でテスラ車を止めると、地下からマシーンが出てきてバッテリーを取り外し、充電済みのバッテリーを取り付けてくれる、その間90秒。ドライバーはそのまま走り出せばいいのです。これにかかる費用は$60から$80と、ガソリン車を満タンにする高めのコストと殆ど変わりません。テスラのドライバーは、早いかタダか選べるという訳です。


長距離ドライブドライブ問題がほぼ方がつきそうな所で、テスラに残る問題はただひとつ。


いったい、誰が$75,000の車を買えるって言うんでしょうかね?


$69,900あれば、テスラ・モデルSを買えることは買えます。でも、より走行距離の長いバッテリーとか、より充電時間の短いチャージャーなどのオプションを選ぶと、値段がジャンプします。それに、他にも、”えっ!それ、聞いちゃったらどうしても欲しいですよ〜!”っていうオプションがたくさんあります。だから、モデルSはあっという間に$100,000近くまで行ってしまうのです。


値段に話が及ぶと、マスクは、国の$7,500の補助(バッテリーのサイズ⇒走行距離による)と、年間$2,000くらいのガソリン代を節約する点を引き合いに出します。もちろん、その通り。でも、それらを差し引いても、モデルSは$55,000位、普通の人が手を出せる価格ではありません。テスラには、もうすぐ出そうとしている新しいモデルがあります。ファルコンウィングドアを持つSUV、モデルXです。しかしこれもステップ2、中価格、中量生産の車で、価格問題の解決にはなりません。


車の価格が$5,000下がる毎に、購入できる人の数は倍になるという車業界の目安があります。ということは、テスラが賞賛に値する車を、モデルSより$35,000安く売れるようになれば、バイヤープールは今より7回倍増する、つまり、125倍に膨れ上がります。これで、ほとんどの人が買えるようになる計算になります。先に出したテスラのハーシーキス、ビジネスプランをもう一度出しましょう。







よ~く見てください。ステップ3が全てです。ステップ3を成功させる為にテスラは存在するのです。ステップ3が成功して、初めて、テスラが世界を変えていける可能性が出て来るのです。


そのステップ3の車は、2017年に出てくる予定のモデル3。値段は$35,000、税額控除を差し引いた後は$27,500、ガソリン代の節約分も考慮に入れれば$20,000以下になる。。。予定です。


でも、いったいどうやって?現在は、モデル3のバッテリーのコストだけで約$20,000もします。もし、テスラがハイテック アルミニウム ボディーを諦め、車を小さくし、モデルSにある超イカしたいろんな機能を付けなかったとしても、バッテリーパックの値段だけで$35,000の車をつくるのは不可能になってしまうのです。




EVは高い。バッテリーが高いから。ではどうするか?。。。テスラの解決策:



巨大な問題には巨大な解決策が必要です。走行距離問題を解決する為に、テスラはスーパーチャージャーのワールドワイド・エネルギー・ネットワークを張り巡らそうとしています。そして、価格問題解決には、今これを作っています。




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マスクはこれをギガファクトリーと名づけました。現在ネバダ州に建設中の、$5ビリオンのリチウムイオンバッテリー工場です。工場のパワーは、ソーラー、風力、地熱発電の再エネ電力ですべて自給自足し、6,500人が働く予定になっています。


現在、世界中で生産されているリチウムイオンバッテリーの総生産量は30GWhで、その殆どがラップトップや携帯に使われています。ギガファクトリーは、毎年それ以上のリチウムイオンバッテリーをつくる予定です。ということは、世界中のリチウムイオンバッテリー生産量が倍以上になるということになります。これで、量と価格の両方が解決されると期待されています。


テスラには年間生産台数を500,000台まで増やしていく予定があり、これには莫大な量のリチウムイオンバッテリーが必要です。だから、マスクの理由はシンプル。「もし、僕らが、このとんでもない工場を作らなければ、必要なリチウムイオンバッテリーは手に入らない。それに、いま誰もこんな工場を作っていないしね。」 


数字を見ればこれは明白です。予定している年間500,000台の車を作るには、約30GWh=現在の全世界年間生産量と同量のリチウムイオンバッテリーが必要です。となると、ギガファクトリーなしでは、世界中で作られる全てのリチウムイオンバッテリーを使わなければならないことになります(携帯やラップトップはどうするのでしょうね?)。工場が稼働し始めたら、テスラのギガファクトリーは、テスラ自身が必要な量はギリギリカバーすることになっていますが、他の自動車会社全てが大量のEVを作り始める時が来たら。。。だから、マスクは、他の会社も、もっと多くのギガファクトリーを作るべきだと言っているのです。


リチウムイオンバッテリーのワールドサプライを2倍にし、バッテリーのイノベーションを続けることで、テスラはギガファクトリーで作るバッテリーの値段を大幅に下げる予定です。マスクは、バッテリーの値段は少なくとも30%は下がると言っています。(バッテリーの値段が下がるEVの値段も下がる)また、マスクは「今でも既に走行距離500マイルの車も作れるけれど、コストがかかり過ぎるのでつくらないだけだ。」と言っていますが、バッテリーの値段が下がれば、EVの走行距離も延ばすことができるのです。


私(ティム)は、今まで作られた高価格車の中で、モデルSがベストカーだと確信しています。発売初年、直接競合する名のしれたライバル車(S-Class Mercedes, BMW 7-Series, the Lexus LS, the Audi A8)をごとごとく抜き、それ以後、販売台数のリードを続けています。しかしこれらは限られたお金持ちの世界だけに影響する車です。


業界をひっくり返すことができるのは、モデル3。まだ、テスラの事は聞いたこともないか、気にもしてない人がほとんどかも知れません。でも、近いうちに、世の中にモデル3が知れ渡る時が来るはずです。もしかして、そうだからマスクは全く広告宣伝をしないのかもしれません。モデル3が出てきたら、宣伝なんてする必要はないのですから。



ストックマーケットも反応しています。テスラは、2010年6月に$226ミリオンでIPOデビューしました。アメリカの自動車会社では、1956年にフォードが株を公開してから初めてのことです。以降、テスラの株は急上昇し、7年前は倒産寸前だった会社が、今では$31ビリオンという巨額のマーケットキャップ(時価総額)になっています。これがどれだけスゴイことなのか、わかりやすいように、アメリカの他の三社とテスラのキャップの変動をグラフにしてみました。(シンプルに直線のみ。)










自動車業界は長〜い間停滞を続けて来ました。生い茂った熱帯雨林キャノピーの下では、ハングリーアンダードックが挑戦することすら何十年も出来ませんでした。テスラは、まだキャノピーを突き破ってはいません。でも、地面から空へ向かって、電光石火のスピードで突き進んでいるのです。


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再び、廉子の注)テスラは、すごいスピードでイノベーションを進めています。既に、一ヶ月ちょっと前に出たティムのポストの内容にも古くなっている箇所がありますが、あえてそのままにしました。そういった点も含めて、近いうちに、自分のオリジナルポストで取り上げようと思います。

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