7.24.2015

エネルギー、車、テスラと変える世界 ---12

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以下は、このリンク先の記事 http://waitbutwhy.com/2015/06/how-tesla-will-change-your-life.html を私が勝手に解釈して書いています。オリジナルの内容にできるだけ沿ったつもりですが翻訳ではありません。


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車ストーリー(その3)

「どうしてテクノロジーは進化するのでしょうか?」


「時が経てばテクノロジーも進化する」って自然に思うでしょう。だから「Xテクノロジーが進化しなくなったのはどうしてだろうか?」って疑問が湧くのです。でも、これは思い違い。テクノロジーはそのままでは進化しません。私(ティム)のタイム・ワーナーのDVRも、2004年当時から、全く変わらない相変わらずひどいユーザー・インターフェイスのままです(Ha!)。テクノロジーは、何もなければ同じ状態を維持しようとします。何らかの圧力がかかって初めて前進するのです。

私たちは、生物の進化についても同じような勘違いをしがちです。自然淘汰は何かを“良く”するのではなく、たまたまいる環境で、生き残るのに最適に生体を変化させるだけです。環境の何かが変わると − 例えば、天敵が突然変異して素早くなったり、特定の食べ物がなくなってきたり、氷河期が訪れたり − それまでの環境に最適だったある種の生物の生体が、最適でなくなってしまいます。環境の変化が、自然淘汰の基準を変えてしまうのです。変わってしまった基準がそれぞれの種の生体に圧力をかけ、時が経つにつれ、その圧力に種の遺伝性が反応して、新しい環境に最も適するよう変わっていくのです。

自然の生物の世界は、永遠のワイルド・ウェスト(西部の開拓時代)それぞれが生きのびるために何でもする無法の社会です。同様に、テクノロジーにとっての自然な環境は、完全に自由でオープンなマーケットです。でも、自然界と異なり、人間の社会には神(御上?)のような政府があり、これも影響を与えます。だから、何がテクノロジーを変化させるのか突き止めるには、次の2つの圧力を理解することが必要です。常に栄えては衰えと変わりながら、関連するもの全てに圧力をかける自然なマーケットのコンディションと、人工的に環境を変えて、特定の圧力を作り出す政府という御上の2つです。その両方を調べてみましょう。まずは政府から。


1) 政府が意図的に環境を変えて引き起こすプレッシャー


神(御上?)である政府の性質やマーケットに与える力は、世界中、それぞれの国によってかなりの違いがあります。北朝鮮では、なんでも知っていてなんでも見える全能の宇宙の支配者のような力を持っていて、自然な市場環境など存在しません。スカンジナビアの国々の神は、裕福な力強いお母さんのように温かく見守っていて、チャンスを与えつつ安全も確保するマーケットを持っています。中央アフリカでは、神はライフスタイルを変えて新しい仕事を見つけ、最も裕福な家族のために働き始めました。彼にとっては大出世です。アメリカの神は、アイデンティティ・クライシスに悩まされていて、自負心と自己嫌悪を行ったり来たりしています。最高の国である、ありたいと切に願いつつ、街角に一人で立って、一体どうするべきか大声で自問自答しているのです。

アメリカの政府(また他の似たような政府)が、神様の役を果たそうと、自然な市場環境を変え、特定のエリアに特定のプレッシャーをかけようとする時、使うツールは主に3つあります。財政支援、規制、税金です。

財政支援: 政府の財政支援が大きな進歩をもたらすには、その支援自体が莫大でないと始まりません。そういった膨大な支援は、オープンなデモクラシーでは、国民がこぞって同意するほど重大なことでないと起こりません。例えば、1960年代に国際社会への影響力を失ってしまうことへの恐れが、アメリカのアドレナリンを一挙に上げ、宇宙開発に巨額が投じられ、人類を月面に立たせました。同じような理由で、アメリカの有権者はなんとかアメリカの膨大な軍事力に合意できるので、その為の巨額な軍事費が、数々の産業のテクノロジーを前進させるのに大事な役割を果たしています。しかし、それ以外のケースでは、利害の対立や、政治的な小競り合いで分裂して麻痺状態のデモクラシーは、大事な技術革命の推進力になっていません。

規制: 民主主義の政府が持つもう一つの権威は、法律、制限規則、割当などのルールを作れることです。これらは、マイナーな事を変えるには効果的です。シートベルトもエアバッグも政府の規制から生まれました。しかし、自動車業界に限って言えば、政府の規制が引き金となって、メジャーなテクノロジーが飛躍的に進歩した例は思い当たりません。

税法: 政府はフリーマーケットに影響を与えるのに、 頻繁に税法を使います。何かを特定の方向に軽く突くには効果的ですが、大々的な前進にはほとんど繋がっていません。

もちろん、アメリカは政府がどれほどの権力と影響を持つべきか、大きな争いの真っ只中にいます。リベラル派は保守派よりも、政府がそれなりの役目を果たし、良い影響力を与えられることに割りと楽観的です。しかし、どちらも、政府がメジャーな技術革新を推し進めるのは、ソビエトとか今の中国のように、政府が強力な力を持っている国の話だと理解しています。オープン・デモクラシー社会では、ものすごいイノベーションは、通常、フリー・マーケットという大釜の中でフツフツと沸き起こり、下から突き上げてきて起こるのです。


2) 自然なマーケットが引き起こすプレッシャー


自然界では、自分の食べ物を確保し、天敵の餌食にならないように、動物はより早く、より巧みに走れるようになりました。地面近くで取れる食べ物が乏しくなると、飢えがプレッシャーとなって、時が経つにつれ、木に登ったり、首が伸びたり、翼が生えたりと遺伝的な特徴が変化しました。走っていた動物が飛べるようになったのは、別に「良く」なったわけではなく、その環境により適するようになっただけです。生物の世界では、最終的に目指すものが単純なので、何を目指して最適化するかもはっきりしています。そうです、どの生物にとっても一番大事なのは、自分を生き延びさせることと繁殖して種を継続させることです。だから、自己存続と繁殖しやすいように適応することが、常に自然界での最適化の定義です。

では、マーケットでは一体何をすることが最適化なのでしょうか?それを理解するには、当事者の主な目的が何なのか知る必要があります。もちろん、人間も生き物ですから、自己存続はいつもリストの一番上に来ます。飢えていたり、寒かったり、病気や怪我をしていれば、それを治すことが何よりも大事になります。でも、基本的なニーズが満たされた後、人を心の底から駆り立てる動機は何なのでしょうか。人々にとって、自己の利を追求するとは、一体どういう事なのでしょう?

殆どの人にとって、これはカルチャー(and/or 価値観)によります。あるカルチャーでは、失敗することへの恐れがものすごく強烈で、栄誉を勝ち得たり財をなすよりも大事になり、無難に人並みで過ごせることを何よりも心から願うのです。また、他のカルチャーでは、心の底から人を駆り立てるのが、宗教による救いであったり、コミュニティーであったり、家族サービスであったり、のんびりしたライフスタイルを追求することであったり、精神的な悟りをひらくことであったりするのです。

しかし、このような動機はテクノロジーの進歩に貢献しません。テクノロジーのイノベーションが、こういった人たちの願いを満たすのにあまり役立たないからです。では、どんなカルチャーでどんな動機が強ければテクノロジーは進歩するのでしょうか?

理想は次の2つのミックスだと思います。

最初の要因: 欲 パーフェストで、フェアで、オープンなマーケットでは、欲が動機の根本であり必要不可欠です。資本主義の理論は、実社会に価値のあるものを作れば作るほど、お金が儲かるというものです。競争市場では、会社はその環境で最適化するために、より良い製品やサービスを作り出す努力をし、その結果、最大の利益を引き出すのです。人は実にいろいろな欲求を持っています - 贅沢なライフスタイル、個人の自由、安全、賞賛、権力、セックス - どれが欲しいかは関係ありません。大事なのは、どうしてもその何かを欲しいという欲求が、手に入れるための行動を最適化させて、それによってテクノロジーが進歩することです。

でも、欲望は、両刃の刀です。欲望が進歩に役に立つには、インテグリティが高く、実力主義のフリーマーケットの中で行わなければなりません。でなければ、欲は反対に進歩の敵になってしまいます。システムがインテグリティを失い、腐敗すれば腐敗するほど、上に立つ者の欲が深ければ、自分の利ができるだけ長く続くように制度を悪用できるからです。

二番目の要因: 並外れた野望 欲望は徐々にテクノロジーを前進させてくれますが、飛躍的な進歩を遂げるには、通常、この二番目の要因が鍵になります。偉大なことを成し遂げたいという、燃えるような野望です。ここでも、どうして野望を持っているのか、その根底を流れる理由は多様で、どれであるかも関係ありません。有名になりたいとか、記録に残る業績を残したいとか、生前生後も偉大だったと思われたいとかの、エゴに突き動かされるれている場合もあります。また、尋常でないほどの自信を持ち、失敗することを恐れず、傲慢で偉ぶっていると思えるほど理想を追っている場合もあります。全く不利な立場にいるのがわかっていても、そんな計算に軽く打ち勝つほどの熱く燃える思いを持つハングリーなアンダードックがこれです。(アンダードックは野良犬または映画などの浪人侍のイメージですか)

成熟した既存の業界では、勝ち組が優位な立場を楽しんでいます。密集した熱帯雨林の最上位層で、枝を広げ太陽の光を葉いっぱい浴びているようなものです。たまに、他の枝が伸びてきそうになったら、ちょっとだけ競り合って、自分の枝も少しだけ上に伸ばせば、また日光を浴びれます。必要なだけの日光を浴びれればいいので、普段は一番上に留まれるようじっとしていれば良いのです。そこから更に上に登る必要などありません。

一方、生い茂った熱帯雨林の下は鬱蒼と暗く、地面の辺りには太陽の光など届きません。でも、そこでは、新種の苗が育とうとしています。見た目はヒョロっとしているけれど、太陽をめいっぱい浴びたいと焦がれに焦がれて、週に100時間以上働きながら力強く根を張り巡らし、どうしたら生い茂った木々を追い越して、上に飛び出せるか必死に考えあぐねています。ブレイクスルーが起こると、苗はグーンと大きく伸び、木々の上に飛び出し、大空のもとで大きく葉を広げます。突然、それまでは最上層で思う存分日光を浴びていた木々が陰に入り、栄養が行き渡らなくなります。。。




http://www.bbc.co.uk/education/guides/z8r6fg8/revision/8?slideshow=2


そうすると、それまで眠っていた本能が目を覚まし、生き残りをかけてイノベーションがハイギアで始まるのです。前の環境では勝ち目のなかった新種のテクノロジーがトップに踊りだして、環境はかき乱されます。変わってしまった環境で最適化するためには、皆、イノベートするしかないのです。中にはトップに返り咲くのもあれば、死んでしまうのもあります。この過程を経て、テクノロジーは一挙に前へ推し進められます。2007年にアップルが携帯電話の熱帯雨林を突き破った時に、他の会社はスマートフォンを作るか、死んでしまうかの選択を強いられ、サムソンは上に戻れ、ノキアは戻れなかったのを私たちは目の当たりにしました。

これを心して、自動車業界と、最初の質問に戻りましょう。

どうして自動車業界のテクノロジーは、これまで100年の間あまり進歩しなかったのでしょうか?


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