7.31.2015

エネルギー、車、テスラと変える世界 ---14

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以下は、このリンク先の記事 http://waitbutwhy.com/2015/06/how-tesla-will-change-your-life.html を私が勝手に解釈して書いています。オリジナルの内容にできるだけ沿ったつもりですが翻訳ではありません。


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パート3: テスラ ストーリー(その1)



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クリスティー・ニコルソンは、1989年に初めてパーティーでイーロン・マスクにあった時のことをこう語っています。

“彼の口から二言目に出てきたのは「僕、電気自動車についてしょっちゅう考えてるんだ。」そして、私の方を向いて「君、電気自動車のことを考える?」”


1989年当時に、電気自動車のことを考えてる人なんてほとんどいなかったはずです。どうして、その頃からイーロン・マスクはそんなに興味を持っていたのでしょうか?それを知るために、まず、電気自動車って何なのか、どんな仕組みで動くのか簡単に見てみましょう。

通常のガソリン車よりもグリーンな車は数種類あります。中でも一般的なのは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(electric vehiclesの頭文字を取って、EV)です。他によく話題にもぼるのが水素燃料電池自動車(hydrogen fuel cell car)で、ここでは水素自動車と呼ぶことにします。これら全てに共通しているのは、電気モーターで動くことです。

電気モーターには、ACインダクション モーターとブラッシュレスDC電気モーターの2種類があります。このポストを読んでいる読者の98%は、2つのモーターの違いは何なのか、詳しい説明を読みたくてウズウズしているとは思い難いので、ここでは、基本的な考え方は同じだと言っておきましょう。

電気モーターは、まるで pig in a blanket(パン巻きホットドック)に見えます。
外側のパンの部分(ステーター、固定子)は固定されていて動きません。電気がパンの部分に送られて、中のホットドックの部分(ローター、回転子)を回転させます。ローターは車軸に繋がっていて、これで車輪が回ります。こんな感じです:


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ACインダクション モーターって、どうやって動くの?

一般的な電気モーターは2種類ありますが、その一つがACインダクション モーターです(テスラはこのタイプを使っています)。AC(alternating current)は交流電流の事です。インダクションは直接接触がなく、
誘導されることなので、ステーターとローター(パンとホットドック)は接触しません。代わりに、ステーターに流れてくる電流が回転磁場を生み出し、それがローターを誘導して回転させます。

ステーターは三相系(3フェイズシステム)に電流を流して回転磁場を作ります。

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上の図では、3つの別々のワイヤーコイルが、赤青緑で表されています。それぞれに時間差で交代に電力が流され、前へ後へプッシュ/プルする力が生まれます。赤色矢印を見てください。1時の方向から7時の方向へ、矢印の先が行ったり来たりしている様子がわかるでしょうか?青も緑も同じです。

よーく見ると、赤矢印の先が7時に一番近い時は、右上グラフの山型の赤線が一番低くなり、1時に一番近い時、一番高くなります。このグラフはそれぞれがプッシュ/プルする力を示しますが、3つのコイルの力を合わせると、どの時点でも一定です。

3つのワイヤーの電流は、ステーターの中で3つ合わさった引く力が、スムーズな円を描くようにに丁度良い具合にずらしてあります。ここにローターを加えると、回転磁場の引く力で回転するのです。



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ローターは電磁場に引かれて追いつこうとしますが、いくら追い続けても追いつかず、延々と回り続ける訳です。この追っかける力が車を動かします。ACインダクション モーターはNikola Tesla(ニコラ・テスラ)が発明しました。テスラモーターズの名の由来です。


                                                                                                                                  





先にも言ったように、電気モーターを使う車は4種類あります。


Hybrids、ハイブリッド車 (HEVs)ハイブリッド車はトヨタのプリウスに代表されます。
内燃エンジンと電気モーターの両方を搭載していますが、電源コンセントから電気を得ることは出来ません。代わりに、走行中にガソリンを電気に変えて電池を充電します。また充電の補足をするのは、回生ブレーキという電気モーターの賢いトリックです。通常、車が走っている時に発生する力学エネルギーのジュールは、ブレーキをかけた時には、熱となって失われてしまいます。その失われるジュールの一部を、回生ブレーキを使うことによってバッテリーに戻し、後で使うことができるようにしています。こういった電気の部分が、燃やすガソリンの一部の代わりをし、燃費を伸ばし、排気を減らし、ガソリン代を節約させてくれます。通常のガソリン車に比べると、ハイブリッド車は、かなりのステップアップ テクノロジーです。

でも、まだなんかイマイチなんですよね。どうしてでしょう?ハイブリッド車は排気問題を減らしてはくれますが、解決してはくれません。結局、ガソリンを燃やさないと走らないのです。「世界中の車が100%プリウスになっても、まだ、世界は100%石油中毒のまま」だと聞いたことがありますが、うなずけます。


Plug-in hybrids、プラグイン ハイブリッド車(PHEVs)その点、プラグイン ハイブリッド車はベターなオプションです。Chevy Volt、ホンダアコード プラグイン ハイブリッド、Ford Fusion Energiなどは、自宅で充電したバッテリーで10から40マイル走行する事が出来ます。バッテリーがなくなるとガソリンで走りますが、普通の人はバッテリーだけでほとんど通常の用事を済ますことができるので、ガソリンを使う頻度がかなり減ります。

でも、ほとんどガソリンなしに出来たのなら、いっその事全くなくしてしまえば?と思いませんか?


Hydrogen cars、水素自動車 
水素自動車はガソリンなしで電気で走りますが、バッテリーは使いません。ですから、自宅で充電も出来ません。ガソリン燃料の代わりに圧縮水素燃料を、ガソリン車のようにステーションで注入してもらいます。水素は空気中の酸素と結合して電気を作り出し、それを電気モーターに送って車を走らせます。この結果できる副産物は水だけなので、テールパイプからの排気はゼロです。とっても、良さそうですよね。

イーロン・マスクは、どう頑張っても、どうして水素自動車の方が良いと主張できる人がいるのか理解できないと言います。一方、トヨタ、ホンダ、GMをはじめ、多くの自動車会社は、多額の投資をして水素自動車を作ろうとしています。どうも、どっちがどうなのかよくわかりません。どうして、意見がこうも食い違うのか理解したかったので、水素自動車のテクノロジーについて、賛成、反対意見の両方あわせて12の記事を読んでみました。読み終えてみると、電気自動車(EV)よりも水素自動車の方が将来性があるとはとても思えないのです。(この点の詳細を知りたい人は、下に注があります。)


最後に、Electric cars、電気自動車(EVs) 日産リーフ、BMW i3、 Ford Focus Electric、Tesla Model S などで、仕組みはいたってシンプルです。大きなバッテリーがあり、それを充電して電気モーターを回して走ります。液体(
ガソリン、オイル、その他)は全く必要ありません。 



EVsを使うこと
は、理論的に全く理にかなっています。EVsの他の点はちょっと置いておいて、内燃ガソリンエンジンに比べて電気モーターの利点を見てみましょう:


電気モーターはガソリンエンジンより殆どの場合便利 ガソリン車はガソリンスタンドに行かなければなりません。EVはスマートフォンのように、毎晩自宅で電源コンセントに差し込んで充電できるので、スタンドに行かなくてもすみます。ガソリンエンジンは200以上のパーツからなりとても複雑ですが、電気モーターのパーツは10以下、とてもシンプルです。ガソリンエンジンで走らせるには、トランスミッション、テールパイプ、ギア、その他たくさん油まみれのモロモロが必要ですが、EVはそんなものはいりません。車のフッドを開けると、エンジンやラジエーターなど、見慣れた諸々は何もなく、トランクのように荷物を入れるスペースがゆったりあるだけです。ガソリンエンジンにはオイルが必要なので、オイル交換しないといけませんが、EVにはオイルもオイル交換もありません。ガソリンエンジンはかなり複雑な分、EVよりももっとたくさんメンテが必要です。


電気モーターはガソリンエンジンより安く動かせる オイル交換やその他多くのメンテや修理にかかる費用は考慮しないで、エンジンを動かす燃料だけ比べても、ガソリンのほうが電気よりもずっと高いです。数字を見てみましょう。

電気自動車は平均して、電気1kWhあたり3マイル走れます。アメリカの平均電気料金は1kWhあたり12セントなので、電気自動車は平均して1マイルあたり4セントで走ります


ガソリンの値段は変動が激しく、ガソリン車は種類によって燃費が大幅に違うので、ガソリン車を走らせるコストを計算するのはもっと大変なのですが、ベストケースを想定して、異常に安い($1.40/ガロン)ガソリンを、異常に燃費の良いガソリン車(35mpg)をに入れたとしたら、1マイルあたり4セントになります。これは、電気自動車と同じレート。でも、4セントでガソリン車を走らせることができる状況にいる人はほとんどいません。では、極端な例ではありませんが、ワースケースを見てみましょう。高めの($4.00/ガロン)ガソリンを、燃費が平均以下のガソリン車(15mpg)に入れたとしたら。。。1マイルあたり27セントになります。

通常の年間走行距離12,000マイルにこのコストを当てはめると、ガソリン車の燃料コストは、最もベストなケースでも電気自動車と同じ、ワーストケースは年間$3,000も高いということになります


ガソリンエンジンは、長期に渡るエネルギー危機と気候問題の、2大要因の一つ 以前話したように、ガソリン車など輸送セクターが燃やす石油は、世界の排気の3分の1を出し、都市を汚染し、国々を他国に異常に依存させる原因になっています。一方、電気モーターは何も排出しません。今は汚い方法で発電された電気で走ってはいますが、これについては後で触れます。


だから、
イーロン・マスクはクリスティー・ニコルソンに、「しょっちゅう電気自動車について考えてるんだ。」と言ったのです。車を走らせるのには、ガソリン車よりも電気モーターを使う方が、今でもより便利で、より安い。しかも、私たちやこれから先の人類の将来を考えると、どちらが賢明なのか。。。答えは明白と思いませんか?



100年以上前に電気モーターが初めて出来た頃、広く普及するのを妨げた重大な欠点が3つありました。その後電気自動車の生産は途絶えてしまったので、それらの欠点を解決する事に、ほとんどお金も時間もかけられていません。電気自動車の実用性を懸念する原因と、長い間言われて来たことは次の3つです。


EVの問題点1)走行距離 実は、3つの点がひとつになった問題です。

A) バッテリーの容量が小さいので、長距離走行できなくて、EVは近場を走ることにしか使えないのか?

B) 走ってる途中でバッテリーが上がってしまったら、充電する所があるのか?それとも、立ち往生せざる終えないのか?

C) 途中で充電する所が見つかったとしても、バッテリーが充電するのを5時間も待ち続けなければならないのか?

EVを買おうかと思っている人たちが、皆心配することなので、range anxiety(走行距離不安性)という特別の名前まであります。


EVの問題点2)パフォーマンス 現在、もっとも広く使われている電気自動車はゴルフカートです。これでは車のオーナーはエキサイトしてくれません。誰も走りが最低な車を欲しいなんて思いませんよね。アクセルを踏んで、ズーンと加速する車って聞いたら、皆ガソリンのスポーツカーを思い浮かべて、電気自動車を思う人はまずいないでしょう。


EVの問題点3)値段 初めてできた当時から、バッテリーの値段が高かったので、EVはガソリン車よりも高いでした。


1910年当時も、電気自動車の問題点として、人々は上の3点を上げていました。克服できなかったので、ガソリン車に負けたのです。ガソリン車も別の大きな問題を抱えてはいましたが、フォードがなんとかそれを克服して実用化させました。電気自動車に同様のことをした人はまだいません。



私(ティム)が、ヘンリー・フォードのことをどう思うか
イーロン・マスクに尋ねた時、彼はこう答えました。「フォードは何か障害があれば、それを避けるか乗り越える方法を見つけてきて、事を成し遂げることが出来た男だった。彼はカスタマーが本当に必要としていることにフォーカスし続けた。彼ら自身何が必要かわかってない時でさえだ。」

2003年に、
イーロン・マスクが電気自動車の事を考えてばかりいるのをやめて、実際に作ろうと決めた時には、成功する見込みはほとんどありませんでした。1世紀近くもスタートアップが成功するのを妨げてきた自動車業界の高いバリア; 炭素排気コストが計上されていないので、電気自動車メーカー作りに全く不利。バスケットボールの試合で、ルーキーとして奮闘しようとしますが、自分以外のベテランプレーヤーは、ペナルティー無しでいくらでも反則できるという理不尽なルールの中でプレーするようなもの; 石油を使わなくても済むように世の中を変えていこうという動きを、ことごとく踏みにじる巨大な石油業界の圧力; その上、EVは新しいタイプの車です。1世紀も前、EV業界がタオルを投げてから開発のポーズボタンが押されたままだったので、気が遠くなるような努力と、巨額を投じてキャッチアップし、上にあげた3つの問題を全て解決して、やっと、なんとかやっとスタート地点に立つことができるのです。

今まで電気自動車が成功しなかったのは、これら3つの問題が解決不可能だからでしょうか?それとも、適した人(電気自動車のヘンリー・フォード)が現れなかったからなのでしょうか?



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注) 電気自動車に比べて水素自動車が劣っている点はいくつもありますが、その中の4つ:

1、水素自動車は、水素燃料を作るのに天然ガス(化石燃料)のお世話になるように見受けられます。一方、電気自動車は、発電がクリーンになるにつれて年々クリーンになります。

2、エネルギー密度、走行距離、コストを見た時、水素セルの予想されるベストケースは、現状のEVバッテリーとほぼ同じ程度。一方、EVバッテリーは今後も改善され続けます。

3、水素は、割りと危険で扱いにくい物質です。その点、簡単に壁のコンセントから電気を取れるEVに比べると雲泥の差があります。

4、そのうちに、自宅のガラージで車を充電するのが普通になると、わざわざステーションに行って燃料を入れてもらわないといけないのは時代遅れと思われるのでは?



水素自動車に関してメールを交わした時、イーロン・マスクはこう説明しました。:

ソーラーパネルで発電された電気でバッテリーを充電すれば、〜90%の効率が得られる。シンプルだし安い。一方、同じ電気を使って、水を分解して、極めて純度の高い水素を取り出し、気が狂うほどの圧力をかけ(液化するなんて、それ以上もっての外)、車の中の大きな水素ストレージタンクに移し(液化の状態であっても)、それから酸素と結合させて電気をつくると、〜20%の効率が得られれば良いほうだ。高くて複雑、かさばるし効率がものすごく悪い。どの角度から見ても負け。パックスワップを考慮に入れれば、燃料補給時間でも負けになる。

燃料電池はコスト面で劣る。でも、これは他に多くある欠点の一つに過ぎない。もし、燃料電池にリチウム電池よりも優れた点があるのなら、せめて人工衛星(中には$500ミリオン以上するのもある)に使われてもいいはずだが、それもない。



最後に、水素自動車の論議を、かなり詳細に、かつ衝撃的に解き明かした(こき下ろした)記事を読んで、私(ティム)の確信は固まりました。どうして日本の会社がこの道を進み続けるのか、全く不思議でたまりません。


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(この部分は、日本語を書いている廉子のつぶやきです。。。今までトヨタ車をずっと買い続けてきて、いまでもレキサス、シエナ、プリウスの3台が家にはあります。丈夫で壊れない頼りになる車を作り、改善を続けて無駄も減らし、エコカーのマーケットもリードして来たトヨタ。水素自動車にこれだけ力を入れていて、強気の発表も続いているので、きっと私たちにはわからない何か技術的な確信を持っているのだと思い続けたいです。

でも、私自身、いろいろ読んできた中で、「やっぱり水素自動車が将来を担っていく車だわ」と確信させてくれた記事に出会ったことがありません。ほとんどがその反対です。水素自動車を非難している人には、エンジニアや科学者などが多いので、納得させられるようなデータ等があるなら、早めに出して欲しいと切に思います。彼らは、データに納得すれば、今まで信じていたことと違うことでも受け入れることができると思うのです。

もし、万が一(ないとは思いたいですが)水素燃料よりもEV電気の方が自動車を走らせるには将来があるという結果がでることでもあれば、トヨタの技術とパワーを使って素晴らしいEVを作るなり、もっと水素燃料が適した輸送セクターを革新するなどして世界を変えて欲しいと願います。

最終的には、電気自動車 v.s. 水素燃料車ではなく、再エネトランスポート v.s. 化石燃料トランスポートなのですから。)



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(Tim's original notes)

Among many reasons hydrogen cars seem inferior to EVs, here are four:

1) Hydrogen cars seem beholden to natural gas, a fossil fuel, in order to extract the hydrogen fuel, while electric cars get cleaner over time as electricity production gets cleaner.

2) When it comes to energy density, driving range, and cost, the best case scenario for hydrogen cells is similar to where EV batteries are now, and EV batteries will get better with time.

3) Hydrogen is a somewhat dangerous and difficult-to-handle substance that’s a nightmare compared to the simple wall-outlet electricity EVs use.

4) Down the road, when the norm is to charge the car up in your garage, it’s going to seem primitive to have to go to a station to fuel up.


In an email exchange I had with Musk about hydrogen cars, he explained it like this:

If you take electricity coming from a solar panel and charge a battery, you can get ~90% efficiency. Simple and cheap. Instead, if you use that electricity to split water, separate the hydrogen with extreme purity, pressurize it to crazy levels (or, even worse, liquefy), transfer it to a giant (even in liquid form) hydrogen storage tank in the car and then recombine it with oxygen to generate electricity, you would be lucky to get ~20% efficiency. Expensive, complex, bulky and super inefficient. It loses on every dimension, including refuel time when pack swap is factored in.

Cost is bad for fuel cells, but that is only one of many bad dimensions. If fuel cells were in any way better than lithium batteries, they would at least be used in satellites, some of which cost over $500 million. They are not.



Finally, if I wasn’t already convinced, this highly-detailed, fairly devastating takedown of the argument hydrogen cars left me feeling eternally puzzled about why the Japanese companies would want to go further down that road.


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